商工中金が「中小企業の経営改善策に関する調査」を発表しました。それによると、中小企業の経営上の問題点とは、回答の割合が多かった順に、①需要の減少・低迷(85.3%)、②販売価格の下落(50.9%)、③国内企業との競争激化(39.1%)、④固定費負担の増大(17.1%)、⑤国内需要構造の変化(16.5%)、⑥資金調達(15.7%)、⑦主力取引先からの生産コスト引き下げ要請(14.5%)、⑧販売条件悪化(13.6%)となっています。そして、これらの問題点に対してどのような戦略をとるべきかについては、①現状の売上水準を前提に利益率を強化する(67.7%)、②国内市場の自律的回復を待つ(47.8%)、③マーケティング手法を見直し、国内需要を開拓する(30.5%)、④新製品を開発し、国内市場を開拓する(25.5%)という順の回答が得られたようですが、企業規模が小さくなるほど②の「受け身」の回答が多かった(資本金1,000万円以下の企業の50.8%が②を回答)とのことでした。
今月号でも総特集の対象とした「中小零細企業」の大半は、現状の厳しい経営環境に対し、特に戦略的な取組みをせずとも何とか対応できると考えていると言えそうですが、本誌としては経営改善に能動的に取り組むことの必要性を強く主張していきたいと考えています。
中小零細企業が経営改善を果たすためのヒントを提供すべく、先月号では代表的業種別に数多くの事例を紹介しましたが、今月号は「戦略」に着眼し、どのような経営改善戦略を中小零細企業がとり得るのかを解説するとともに、当該戦略に関連する事例を相当数掲載しました。「戦略」として取り上げたのは「高付加価値化」「コスト削減・低価格化」「経営体制の整備」「顧客ニーズへの適応」「営業戦略の導入」「ITの導入」の六つですが、これらは先に掲げた商工中金の調査で明らかにされた中小企業の経営上の問題点の多くに対して効果を上げられるものだと考えています。
確かに市場の回復があれば業績も改善する面はあるのでしょうが、この時期に戦略的に経営改善に取り組めば、回復期には他社を上回る業績を上げられるでしょうし、何よりその後の景気後退期での耐性ができあがるのではないでしょうか。各支援者には「受け身」の経営者に対しては粘り強いアプローチを期待したいです。
「時局インタビュー」では、経済産業省大臣官房参事官の後藤収氏に、10年度の中小企業支援方針をお聞きしました。
また「この人に聞く」では、慶應義塾大学大学院教授の山根節氏を訪ね、同氏が主張している「業績=環境×工夫×情熱」という方程式につきお聞きしました。このうち何よりも重要なのは情熱、その根源となる夢ということです。「今の経営者には夢がない」という言葉が印象的でした。新首相の言う「20年の閉塞状況」は、まさに我々の「夢不足」から生まれているような気がします。(中山)
~8月号編集後記より~






