一度再生支援を受けた企業が再度支援要請を行うような事態が起きる可能性は、そもそも当該企業の経営体質に問題があった場合に高く、事実多数の「二次破綻」企業が生まれている。しかしこうした企業であっても、極めて強いターンアラウンド・マネジメントが行われれば企業再生は実現する。当初の私的整理で策定された再生計画の未達成という事態に直面した企業に入り込み、再生に導いた経験を持つフロンティア・マネジメント㈱の矢島、田中両氏に、真のターンアラウンド・マネジメントのポイントを伺った。
TMの道 再生計画未達案件の再支援
再生計画未達案件の再支援 ~真のターンアラウンド・マネジメントの実行~
矢島政也(やじままさや)氏―写真右側
アクセンチュア、産業再生機構を経て、2007年フロンティア・マネジメント設立に参画し執行役員に就任。
アクセンチュアでは、財務・経営管理サービス部門に所属し、金融機関等のリスク管理や経営管理を中心とした領域のコンサルティング業務に従事。産業再生機構では、カネボウ、ダイエー案件に従事。案件に常駐し実行計画策定、営業改善、生産・物流部門や全社コストダウンプロジェクト等のアドバイス業務を実施。フロンティア・マネジメントでは、各種産業に属する企業のデュー・ディリジェンスを実施すると共に、製造業・小売・外食・交通・観光といった業種のターンアラウンド業務に従事。
田中完治(たなかかんじ)氏 ―写真左側
米国公認会計士(US.CPA)。日商岩井(現・双日)、KPMGビジネスアシュアランスを経て、2007年フロンティア・マネジメントに参画。
日商岩井では、製鉄原料等を中心とした輸出入・三国間貿易等の海外営業や国内営業に加え、海外鉱山等の事業投資業務や新規事業開発、関連子会社管理(赤字子会社の再生業務含む)等の業務に従事した後、同社経理部門にて建設・不動産カンパニーの経理・決算業務等に従事。KPMGビジネスアシュアランスでは、各種事業会社向けにコーポレート・ガバナンス、リスクマネジメント等を中心としたアドバイザリー業務に従事。フロンティア・マネジメントでは、交通・小売・観光といった業種のターンアラウンド業務に従事した後、A社(製造業)案件の常駐支援に従事。
抜本的事業再生は「実行態勢」が鍵
── まず、A 社の再生支援に至るまでの背景・経緯は?
矢島 A 社は、主に機械製造販売と工事を伴う施設系事業を手がける全国展開の機械メーカーで、06 年3月期まで売上高は80 億円前後を維持していたものの営業利益ベースでかろうじて黒字であり、過剰債務が問題となっていた。その後、07 年3月期において私的整理を伴う再生計画を立案し、金融機関からの債権放棄を受けて70 億円以上あった有利子負債を30 億円程度に削減した。しかし、08 年3 月期に市場全体の縮小に伴い売上高が70 億円前後へと大幅に落ち込み、営業利益でも4億円程度の赤字が予想され、いったん削減できた有利子負債も再び40億円程度の水準まで増加し、再生計画の未達が見込まれた。この状況を受け、08 年の年明けに、メインバンクを経由して弊社(フロンティア・マネジメント㈱、以下「FMI」)が再生支援の依頼を受けた。
新たに作成した新再生計画においては、金融面に関しては金融機関によるリスケ及びファンドからの出資金で対応するものだったが、経営面に関しては「前回の二の舞を演じてはいけない」という観点から「外部の会社の関与」が必要条件とされ、FMI が実行フェーズのターンアラウンド・マネジメントも担うことになった。なお計画上の契約期間は19 カ月。具体的なミッションは「計画どおりの利益を出すこと」であり、新再生計画の確実な実現が求められた。
―― 当初の再生計画がうまくいっていないという前提があるが、「なぜ失敗したのか」をどう分析したか。
田中 前回は、会計事務所に再生計画の作成を支援してもらい、金融機関にも債権放棄をしてもらったものの、計画を実行するにあたって新しい仕組みの導入がなかった。外部の起用もなく会議体も従前のままで、計画策定前と基本的に同じ運用が行われていた。そのため、実現可能性を吟味した具体的な施策を織り込んだ計画を策定し、かつ外部関与により計画をきちんと遂行する態勢が整えば、再生の実現可能性はあると考えられた。
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