景気は少々回復してきていると言われているが、中小企業が今後も生き抜いていくには、常に変化する経営環境に適応しなければならない。経営者の自助努力は当然としても、国が用意した各種支援メニューを経営者や各種支援者はうまく利用すべきだろう。そこで前中小企業庁長官官房参事官(現経済産業省大臣官房参事官(商務流通グループ・総合調整担当))の後藤収氏に、10年度の中小企業支援施策の内容、当該施策が必要となっている背景等につき詳しくお聞きした。
時局インタビュー 後藤 収
中小企業経営支援の基本指針
経済産業省大臣官房参事官(商務流通グループ・総合調整担当)(前中小企業庁長官官房参事官)
後藤 収 氏
プロフィール
1985年東京大学経済学部卒業、通商産業省(現経済産業省)入省。特許庁総務部総務課長補佐、長崎県経済部企業振興課長、通商産業省機械情報産業局航空機武器課長補佐、中小企業庁小規模企業部小規模企業政策課長補佐、外務省在シドニー総領事館領事、経済産業省商務情報政策局博覧会調整官、内閣府企画官(政策統括官(科学技術政策担当)付)、資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課長、同庁電力・ガス事業部政策課長、中小企業庁長官官房参事官を経て、2010年6月より現職。
~10年度施策より~
■倒産は減少傾向だが…
── 中小企業経営がおかれている現状と課題をどう捉えているか。
後藤 まず中小企業の倒産の状況から示したい。図表1(次頁)を見ていただければ分かるとおりなのだが、倒産の全体数は減ってきている。前年比(図表中折れ線グラフ)で見ると、08年9月のリーマンショックの後に伸びたのだが、その後、迅速な金融支援を行うなど資金繰りについて万全の対策を取ったこともあり、それほど倒産件数は増えず、09年の7月以降は前年割れがずっと続いている。
つまり、一時に比べると倒産は減ってきていると言えるのだが、これはあくまでも全体の傾向であり、我々は必ずしもこれで安心しているわけではない。
というのは、業種別に倒産の傾向を見ると、内需に依存するタイプの中小企業にとってやはり厳しい環境が続いていると捉えているからだ。図表2(次頁)は業種別の倒産件数を示したものだが、製造業は足元若干増加傾向にあるが、全体としては減少傾向にあると捉えている。他方、建設業の倒産が相変わらず多い。これは公共投資等が落ち込んでいる結果ではあるが、建設業の倒産が多いことは良くない信号の一つだと捉えている。また、飲食業や小売業について、どちらかというと、各々レベルからすると高止まりしている印象を持っている。
こうしたデータから、建設、小売、飲食という内需に依存する企業については、景気回復の局面にまで至っていないというのが我々の認識だ。
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