少し大きな話になりますが、世界の人口は50年には91億人と、10年比で約30%増加すると予測されています。また、世界的経済成長による所得向上は食生活を変化させ、畜産物や油脂類の需要が増加、飼料穀物や油糧原料の需要増加をもたらすとされます。さらに、バイオ燃料の生産量増大も穀物の需要増加要因でしょう。そして、これらの要因から、50年の世界の穀物需要は、99~01年の1.6倍に増大すると予想されているわけです。一方、その需要に応えられるだけの生産が可能かというと疑わしい面があり、耕作地1haあたりの収穫量の伸びは、現状年1.2%程度なのですが、その伸び率は年々減少傾向にあるということです。すなわち、「食糧危機」は中長期的にみて起こる可能性は高いと考えるべきであり、そうなった際、食糧自給率の低い我が国は深刻な打撃を受けるものと思われます。したがって、現在は衰退を続けている農業を再生させることは非常に重要なテーマなのです。
この点を別の観点から捉えると、農業は大きなビジネスチャンスを秘めている分野だと言えるでしょう。しかし現状はその可能性を活かしきれていません。これまでの国の政策が、個々の事業者の「経営」センスを必要としてこなかったから、というのがその要因の一つです。したがって、農業が秘めるビジネスチャンスをものにするには、そこに「経営」の観点を持ち込み、「革新」させることがポイントだと指摘できそうです。
一方、金融機関にとっては民間企業の資金需要不足に伴う資金余剰が問題となっており、これまで積極的に手がけてこなかった農業分野への融資拡大を目指す方向性が出ています。しかし民間ベースで農業向け金融に進出する場合、対象となる農業事業者が相当程度の「経営感覚」を持っていないと、取引しづらい面はあるでしょう。すなわち金融機関の農業融資にとっても、「経営」という点がポイントとなってくるわけです。
そこで今月号の特集ではこの観点に立ち、農業事業者の課題と対策を概観し、金融機関の融資検討の材料となり得る「農業経営」はどのように捉えるべきかを、食農事業への参画、法人化による参入、再生、といった視点から紹介しました。また、実際の金融実務の具体的ポイント・論点もあわせて提示しています。
インタビューには早稲田大学大学院教授の木村達也氏にご登場いただき、顧客ニーズをきちんと認識した、イノベーティブな製品・サービスを創造する上でポイントとなる会社組織のあり方についてお聞きしました。その他、「環境経営」を軸にした経営改善手法について解説した記事も掲載しています。
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