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この人に聞く 木村 達也

全員マーケティングとコラボレーションの重要性

この人に聞く 木村 達也
早稲田大学大学院 商学研究科 教授
木村 達也氏

内部組織からのマーケティング

 現在の経営環境において顧客ニーズへの適応の重要性につき異論はないだろうが、マーケティング部門やそれに相当する特定の部門だけでこの問題に対処するのに限界が来ている。つまりこれからの顧客ニーズに合うようなイノベーティブな製品・サービスは新しいアプローチで創造する必要がある。
 
 この点につき、「全員マーケティング」及びそれにより得られた情報の「コラボレーション」という形での統合的なマーケティングの重要性を、早稲田大学大学院教授の木村達也氏は主張している。当インタビューでその主旨を詳しくお聞かせいただいた。

全員で考える

―― まずは、現在の経営環境についてどのように考えているかをお聞かせいただきたい。

木村 08年秋のリーマン・ショック後、「百年に一度の危機」などと言われたが、それは、「これまでの経営のやり方ではうまくいかなくなった」ことが認識されたということだと思う。製造業を例に単純な話をすると、今まで多くの中小企業はそれまでの延長線上で経営を行ってきた面がどうしてもあって、会社主導での製品開発でも作れば売れたし、親会社等が「作ってくれ」というものを作っているだけでもうまくいっていたという面がある。しかし、リーマン・ショックはその流れを途絶えさせた。まさしく時代が変わったのだ。
 そして、新しい時代に対応するためには、経営に関わる全員が「何を、どのように取り組めばよいのか」を真剣に考えなければならなくなっている。


── 全員が考える、という点がポイントか。

木村 そうだ。これまでは「何を、どのように」ということは経営層あるいは特定の部門だけが主体になって考えていたり、あるいは顧客が決めてくれたりしていた。それでうまくいっていた。先ほど示したように、顧客の言うとおりに製造していれば買ってくれたという面もあるし、「値段をこれだけ下げてほしい」と言われ、努力して対応すれば顧客は約束どおり買ってくれたわけだ。こうした環境が大きく変わっている以上、「会社組織全体で考える」というのは一つの方向性だと思う。

 しかし、長年そのような経営層ベース、顧客ベースで業務を行ってきた企業の組織には「自分達で何か作っていこう」という意欲がいつの間にかなくなっていることが非常に多いと感じる。
 その組織に、あるいはそこで働く従業員にそうした能力がないわけでは決してない。むしろそういう人達には高い能力があったのに、「いろいろな提案をしたのに受け入れられなかった」「結局上から潰された」といった理由から、ものを考えなくなってきたという組織が多いというのが実情ではないか。だから「会社組織全体で考える」ようなことに取り組むにしても、経営者はこうした点についてきちんと認識し対応する必要があるだろう。


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