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【今月の視点】今こそ企業再生のため恒久的・ナショナルセンターの創設を!

【今月の視点】
今こそ企業再生のため恒久的・
ナショナルセンターの創設を!

【今月の視点】今こそ企業再生のため恒久的・ナショナルセンターの創設を!
錦織・深山法律事務所 
弁護士 錦織 淳

 社会の構造がドラスティックに変化する中で、その行く末を見定めて抜本的な政策を体系的に創り上げていくことは容易ではない。
私は、日本における最初の本格的不良債権処理策となった住専処理スキーム構築にかかわった立場から、「企業再生」支援のための国の施策が場当たり的であると批判してきた。
 「不良債権」という言葉が示すように、この問題は貸し手たる金融機関の問題として把えられてきた。出発点となった住専処理は、国家の仲介による巨大な私的整理ともいうべき枠組の下で、住専各社を解体した。その上で国民の損失負担をいかに減らすかという観点から「債権回収」が至上命令となった。
その後、北拓、長銀などの大手を含む200近い金融機関の全国的規模での破綻が明らかになり、住専処理機構と整理回収銀行を合併させた現RCCがその不良債権処理を担うこととなった。
 本来なら、ここで貸し手の「不良債権処理」だけでなく、借り手の「企業再生」という両面作戦に即時・全面転換しなければならないはずであった。しかし、竹中・木村ラインによる金融再生プログラムは、金融機関のための不良債権の早期処理こそが至上命題であり、借り手の「企業再生」は片隅に追いやられた。
 RCCの債権回収至上主義からの脱却は遅く、企業再生への本格的支援体制の構築には相当の時間を要した。そのため、後の産業再生機構創設の際、RCCとの役割分担を巡って混乱が生じた。“閻魔大王”による“天国(再生)”と“地獄(破綻)”の二分論などは、余りに非現実的でその極致ともいうべきものであった。また、産業再生機構は現実には必ずしも大規模企業のみを支援対象とするものではなく、日光・鬼怒川地区の温泉街の再生を意識的に手がけるなど、RCCの役割との競合が生じた。
 他方、地方の疲弊に対処すべく、遅まきながら中小企業再生支援協議会が全国に創られた。
 そうこうするうちに、産業再生機構はその時限的役割を終えたとして、これをモデルとする企業再生支援機構が、またもや時限的なものとして創設された。この新機構は、もともと「地域力」再生機構として想定されたもので、その目的も「地域における総合的な経済力の向上を通じて地域経済の再建を図」ることであり、支援対象も「中堅事業者、中小事業者」とされた。しかし、皮肉にも、同機構の支援第1号はJALであった。
 他方で、なぜかRCCの組織は大幅に縮小されつつある。また、再生への道筋を明示しない金融円滑化法が制定され、膨大な中小事業者がその“恩恵”に預かっている。
 このようにみてくると、国策は一貫性を欠き、企業再生のための“恒久的”な“ナショナル”センターは一貫して存在しない。その間に、企業再生の専門的知識・経験を蓄積したはずの有能な人的資源は離合集散した。また、かかる蓄積の中から生まれてくるはずの政策的提言も、不十分で体系性を欠くものとなっている。
 今こそ企業再生のための恒久的ナショナルセンターの創設が求められる。