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【連載】各業種で活躍するターンアラウンドマネージャーからの報告書<4>

第4回 製造業

【連載】各業種で活躍するターンアラウンドマネージャーからの報告書<4>

 現在、日本の製造業を取り巻く環境は、「原材料費の高騰」「企業間の価格競争」「海外メーカーの日本市場参入」などにより、非常に厳しい状況になっている。中小企業にターンアラウンドマネージャー(以下「TAM」という)として登用された場合、人材の違いを受け入れなければならないという。
 今月は、製造業の再生案件を数多く手掛けてきたA・A氏に忌憚のない意見を伺った。

人材なりに組織を作るという意識が重要

――TAMとして今回で3社目とご活躍されているが、大企業の幹部から中小企業のトップに移られて、ご苦労された点などはあるか。

A・A 中小企業の経験のない方は「人材が違う」ことを受け入れないと上手く行かないでしょう。「駄目な人材ばかりだから総入れ替えをしないとならない」と批判する方を目にしますが、中小企業には大企業のような人材は来ない。今いる社員で動く組織を作るという意識で動かないと前に進みません。

まずは稟議システム構築に着手

――その話はよく耳にするが、TAMとして入られてから、まず何に手をつけたのか。

A・A 再生企業ですので、至急やらないとならない課題が山積していました。まずは資金流出をいかに止めるかが最大の課題でした。
 通常は事業計画策定時にコンサルタントとして関わってからスタートさせるのですが、今回は策定前にTAMとして要請があり、入りながら事業計画を策定するという状態での登用でした。10月決算の会社で6月に入りましたが、事業計画は8月上旬には作り上げないと間に合いません。事業計画を銀行に提示した後は、確実に実行されることが命題ですから、時間がありませんでした。

 残念なことに、この会社は管理体制が機能していませんでした。稟議システムもなく、担当者が勝手に発注していると言っても過言ではなかったので、すぐに稟議システムを構築しました。まずは発注前に、どの位の量を発注すればよいのか、誰に確認を取ればよいのか、責任者はどういう基準でゴーサインを出すのか、検討するためにはどのような資料が必要なのかなどを検討して、必ず相見積りを取る仕組みを作り、他社では当たり前であることを伝えました。

 社員は余計な業務が増えたと思いますし、一番文句を言うのは一番の実力者(社長)だったりします。それは、今まで自分がやってきたことを否定されたと思ってしまうことが要因ですが、衝突すると余計なエネルギーを消耗しますから、一番文句を言いそうな人に根回しして、味方につけることも大切です。

 最終的には、それを行うことでコストダウンが図られ、利益につながることが共通の目指す姿なのですから。

「知らないことも武器」

――いわゆる「抵抗勢力」が社長だった。再建に入った方々が一番苦労する点かと思うが、どのように克服されたのか。

A・A 外部パートナーを活用させてもらいました。具体的には、メインバンクから私が改革することに口出ししないように言ってもらいましたが、最終的には経営トップが受け入れてくれるかどうかです。

 また、悪気はないのでしょうが「どうせ知らないでしょうけど」と言われることも多かったですね。それで傷つくTAMも多いのですが、私は「知らないことも武器」だと思っていますので軋轢は感じませんでした。業界の常識は世間の非常識だったりしますし、よくない慣習は知らないからこそ気づくわけですから、外部の力が必要だと思います。

 また、前経営陣に対して金融機関が匙を投げていたのも大きな要因でした。当初は傍観していましたが、1ヵ月後以降はかなり口出しし、後半は私が中心になって事業計画を策定しました。ただ、甘さを残した計画を作らざるを得なかったのは心残りです。

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