平成23年度税制改正大綱によると、平成23年4月1日以後、欠損金の繰越控除限度額は繰越控除前の所得金額の80%となり、また、連結欠損金の繰越控除限度額も、繰越控除前の連結所得金額の80%となる(ただし中小企業は現行のまま)。
本稿では、本改正により多年度に亘り、赤字を計上してきた企業が100%繰越控除できなくなることについて、その概要と今後の当該企業に対する影響などを解説する。
【一般記事】欠損金の繰越控除制度の縮小による影響
制度概要と今後の影響
1.はじめに
平成23年の税制改正大綱において、欠損金の繰越控除制度について見直しが行われている。中小法人の法人税率を引き下げる一方で、欠損金の繰越控除制度の制限、貸倒引当金制度の見直し等、中小法人等以外に実質的に増税傾向の改正がおりこまれている。
これは、中小法人等の減税による経済活性化と国家財政面からの税収確保の側面からの改正と考えられるが、欠損金の繰越控除について、制限がかかることにより、従来は利益がでても納税は発生しなかったケースでも有税にて対応しなければならないことが想定され、税務のみならず、想定外のキャッシュフロー流出にため、融資等にも影響がでると考えられる。
本稿においては、本改正による様々な影響について述べていく。
2.改正の概要
(1)控除限度額の制限
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度及び青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする事業年度の繰越控除前の所得の金額の100分の80相当額とすることとされた。
(2)適用除外
(1)の改正は中小法人等については適用されず、現行の繰越控除限度額が存置される。なお、中小法人等とは以下の法人をいうものとする。
① 普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社等、相互会社等の100%小法人及び資本金の額もしくは出資金額が5億円以上の法人の100%小法人を除く)。
② 公益法人等
③ 協同組合等
④ 人格のない社団等
資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下の法人であっても資本金の額もしくは出資金の額が5億円以上の法人もしくは相互会社等の100%小法人に該当する場合には、(1)の控除限度額の制限が適用される。
(3)適用時期
この改正は、平成23年4月1日以後に開始する事業年度について適用することとされている。
(4)欠損金の繰越期間の延長
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間を7年から9年に延長することとされている。
これに伴い以下の措置が講じられる。
① 欠損金の繰越控除制度について、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存が適用要件とされる。
② 法人税の欠損金にかかる更正の期間制限が7年から9年に延長。
③ 法人税の欠損金にかかる更正の請求期間が1年から9年に延長。
(注)上記①と②の改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用され、③の改正は平成23年4月1日以後に法定申告期限が到来する法人税について適用される。
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